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『スイートプールサイド』…たかが毛、されど毛

『スイートプールサイド』(103分 シネスコ ☆☆☆★3.25)

高校生になっても毛がはえてこないことを悩む太田年彦(須賀健太)は、同じ水泳部の後藤綾子(刈谷結衣子)の毛深い手足に羨望の思いを抱えていた。そんな頃、年彦は綾子に「私の毛を剃って欲しい」と頼まれる。綾子もやはり自分の毛深い手足を悩んでいたのだ。こうしてふたりは月曜日の放課後、秘密の時間を共有することになる。

押見修造の原作コミックを映画化した異色の青春映画。

いきなりな余談だが、女性がワキ毛を宿敵と認識し、完全駆逐を始めたのはいつ頃からなんだろう。

いろいろな文献を紐解いたり、評者の経験?から推察するに、昭和も40年代に突入し高度経済成長の恩恵を受けた日本が、いよいよ欧米化のきざしを見せ始めた頃からだろうか。

そんな戯れ言は置いとこう。たかが毛、されど毛。本作はそんな思春期特有の悩みに着目したユニークな切り口の青春ストーリーだ。

で、当然のように本作の見せ場は、橋の下で行われる年彦と綾子の剃毛の儀式に集中する。それでもってこれが予想以上にエロい。プール以外で見せる綾子のスク水姿など、これはもはや反則の領域であり、「静まれー、このダイナモ!」なんて自らの息子を叱咤する年彦くんの気持ちもよく分かる。綾子の毛を剃る年彦の心象描写も秀逸で爆笑。

突然あこがれの女子のムダ毛処理につきあわされるはめになる、そんな童貞少年の戸惑いや好奇心も巧みに描かれ、切なく、そして可笑しい。

前半こそ、そんな甘酸っぱい場面が満載の本作だが、ふたりの逢瀬が発覚してからの後半は、やや暴走気味の描写が目立つようになり賛否が別れるかも。特に年彦くんは完全に壊れちゃってるし。

髪の毛以外の毛を全部剃って役に挑んだ須賀健太と、江川悦子の特殊メイク(ワキ毛はリアルだったなあ)により、全身剛毛美少女になりきった刈谷結衣子の熱演もあり、見どころも多く、評者はけっこう好きな作品だ。

ところで、年彦の姉の恋人役で出演した松田翔太は、完全に無駄使いでした。松居大悟監督の人脈かな?

主題歌:「LoVe SHouT!」モーモールルギャバン

出演:須賀健太刈谷友衣子、落合モトキ、荒井萌、大賀、井之脇海谷村美月木下隆行利重剛松田翔太

原作:押見修造

脚本:松居大悟

監督:松居大悟

2014/6/14公開 配給:松竹メディア事業部