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小説【コーヒーブレーク】第9回…過去へ。

水鏡子は、生徒会室の机に付いたものの、顔を伏せたままだ。

書記の紫(ゆかり)がココアのカップを人数分持ってくる。

「会長、すみませんでした」

ココアを半分ぐらい飲んだところで、鏡子が口を開いた。

「署名集めてくれたんですよね」

「まあね」

「それも、なんというか『捨て身』で……土下座したとか」

してないよ。

「柔道部のマネージャーになったとか」

誰がなるか。

「……それに、裸になったなんてデマまで」

吹き出しそうになった。

「見せようか?」

「今はやめて」

久美の口を封じるのは不可能だろうな。

「なぜ、そこまでして、香織のために」

「罪滅ぼしよ」

モデル答弁を話す。あの暴言に対するお詫びとする言い訳

を。

「それだけとは思えません」

だめだったか。

まずいな。沈黙が肯定になってしまう。

「話していいんじゃないか」

久美が言う。

紫も目で促す。

また、あの話か。

私の過去。

今は東郷規子を名乗る、かつての藤崎規子が人殺しになるまでの、つらい話。

でも、しかたない。私の十字架は一生ついて回る。けして軽くしようなんて考えてはならないのだ。

「ここで風紀検査だ。ハンカチは持ってるな」

「あ、はい」

いきなりすぎる風紀委員長だった。

今回こそ、私も泣かずに話したいんだけど、その自信はない。

紫が、部屋の奥からティッシュを持ってきた。

気が利く子だ。

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